インプラント手術による「神経損傷」とは？

インプラント手術後の中で重大なトラブルとして多いのが「副鼻腔の炎症」「インプラントが上顎洞内に入り込んでしまう」「神経損傷」です。神経損傷は改善しにくい症状だと言われています。

神経損傷とは？この記事では神経損傷が起こる場所や原因、状態について詳しく解説しています。インプラント手術を検討されている方は参考にしてください。

インプラント手術による「神経損傷」って?

インプラント治療は顎の骨に穴を開ける外科手術です。神経損傷とは、顎の神経を傷つけてしまうことよって神経麻痺が起きる状態で、神経損傷が起こると痺れやピリピリした痛みが続き、感覚が鈍くなるおそれがあります。

神経損傷の起こる場所は「下顎」

神経損傷の起こる場所は「下顎」です。インプラントを埋め込む際、上顎には神経が通っていることが少ないため、神経損傷が起きるのはすべて下顎だとされています。下顎の骨の中に下顎管があり、その中に「下歯槽神経（下顎の骨の中にある神経）」と血管が通っているため、インプラントの手術中に何らかの原因で神経が傷ついてしまうのです。

インプラントを埋める場所によっては「オトガイ神経」や「舌神経」を傷つけるおそれもあります。

オトガイ神経は下歯槽神経終末にあり、下歯槽神経の小臼歯の根尖の下にあるオトガイ孔から骨外に出て粘膜や皮膚や下口唇の知覚をつかさどっている神経のことです。治療で麻酔をしたときに下唇の片側だけがしびれている経験をしたことがありませんか。それはオトガイ神経によるものです。

神経に影響を与えるのは「神経損傷」と「神経圧迫」

インプラント手術で神経に影響を与えるのは神経損傷と神経圧迫です。

神経損傷はインプラント体を顎の骨に埋め込むときに神経が傷ついたり、切れてしまったりすることです。親知らずの治療で切開をするときにも神経を傷つけることがあります。

神経圧迫はインプラント体が直接神経を傷つけるわけではありません。顎の骨を削る処置をして強い力が加わるとインプラント体が神経の近くまで到達し間接的に神経が圧迫され、痛みや麻痺が症状として出ることです。

インプラントを装着する位置や角度が合っていない場合、インプラントの先端が骨から出てしまい神経の損傷や圧迫につながるケースがあります。「これはまれなことで経験が少ない医師に多い事例だ」と話す医師もおり、経験豊富で技術力の高い歯科医師のいるクリニックを選択すれば、このような症状を防ぐことができる可能性が高いです。

神経損傷の原因は？

インプラント手術で神経損傷が起きる原因は、骨を削ったときに神経に近づきすぎる、神経に当たる、神経を圧迫してしまうことです。ほかにも、インプラントを埋め込むときに神経を切ってしまう、埋め込んだインプラントが神経に当たって神経を損傷してしまう場合やインプラントの埋め込み位置がずれたり、角度が合っていないときにも起こります。

また、インプラント体が神経の近くまできていたら直接神経を傷つけていなくても圧迫することもあります。

神経損傷にはどのような症状があるのか

神経損傷・圧迫が起こっている箇所に痛みを感じます。神経損傷が起きていなくてもインプラント手術で痛みや出血の症状が出ますが、少しずつ痛みは治まってきます。痛みが何日も続き、ひどくなる場合は神経損傷かもしれません。

左右どちらかの唇から下顎にかけて麻痺が起こり、手で触っても感覚がない、常に少ししびれているというような症状が出ることがあります。インプラント手術をする際は麻酔を使うため、手術後は麻痺しているような感覚になりますが、数時間経つと麻酔は切れます。麻痺状態が戻らないときは神経損傷を疑った方がよいでしょう。

下唇や舌、オトガイ周辺がピリピリ痺れることもあります。

腫れたりあざができたりするのは神経損傷ではありません。インプラント手術後に誰でも起こる症状です。冷たいものや熱いものがしみるのも同じです。数日経過すると症状が改善されることが多いですのでしばらく様子をみてください。

歯科医院・医師選びは慎重に

神経損傷を防ぐには、インプラントの術前検査において歯科用CTを使用している、三次元で神経の位置を把握してもらえる歯科医院を選ぶことです。インプラント専門医が在籍しているクリニックやカウンセリングが丁寧で説明が分かりやすい、リスクもきちんと話してくれる医師を選びましょう。

カウンセリングでは治療後にトラブルがあった場合、どのような保証があるのか、費用負担ついても聞いておくといいでしょう。インプラント治療を検討されている方は歯科医院・医師選びは慎重におこなってください。